私の運命の人
いっくん?
「おはようございます」
翌朝、玄関を開けた私は三十木先生をじーっと見つめた。
「どうかしましたか?」
「いいえ、おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「こちらこそ。って、妙に殊勝ですね。何か心境の変化でも?」
首をひねる先生を、またしても私はじっと見つめてしまう。
見れば見るほど、いっくんに違いないと思えた。
「あの、三嶋さん? 具合でも悪いんですか? 足が痛むとか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうですか。でも気味は悪そうですね」
眉根を寄せる先生に、私は不敵な笑みを浮かべる。
先生がいっくんだとわかった今、どうやってそれを認めさせるかだ。
ひと晩ベッドの中であれこれ考え、どうしても解けなかった謎。
なぜいっくんは今三十五歳なのか。
年齢を偽っている?
それから名字が違うこと。
もしや、結婚して奥さんの姓を名乗っている?
出身が滋賀県だと言ったこと。
これも単なる嘘?
生田製薬の御曹司でありながら、なぜ教師に?
考えてもわからないなら、先生に、いや、いっくんに直接教えてもらうまでだ。
私はとにかく、先生はいっくんであると認めさせようと心に決めた。
「先生。せめてものお礼に先生の分のお弁当も作ったんです。よかったら召し上がってくださいね。ボトルに温かいコーヒーも入れました」
「……ありがとう」
「さあ、では今日も元気にまいりましょう。送迎、よろしくお願いいたします!」
「……はい、謹んで送らせていただきます」
私はすっかり使いこなせるようになった松葉づえで、さっさとアパートをあとにする。
車に乗ってからも、先生は不気味なものでも見るようにチラチラと私に視線を送っていた。
翌朝、玄関を開けた私は三十木先生をじーっと見つめた。
「どうかしましたか?」
「いいえ、おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「こちらこそ。って、妙に殊勝ですね。何か心境の変化でも?」
首をひねる先生を、またしても私はじっと見つめてしまう。
見れば見るほど、いっくんに違いないと思えた。
「あの、三嶋さん? 具合でも悪いんですか? 足が痛むとか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうですか。でも気味は悪そうですね」
眉根を寄せる先生に、私は不敵な笑みを浮かべる。
先生がいっくんだとわかった今、どうやってそれを認めさせるかだ。
ひと晩ベッドの中であれこれ考え、どうしても解けなかった謎。
なぜいっくんは今三十五歳なのか。
年齢を偽っている?
それから名字が違うこと。
もしや、結婚して奥さんの姓を名乗っている?
出身が滋賀県だと言ったこと。
これも単なる嘘?
生田製薬の御曹司でありながら、なぜ教師に?
考えてもわからないなら、先生に、いや、いっくんに直接教えてもらうまでだ。
私はとにかく、先生はいっくんであると認めさせようと心に決めた。
「先生。せめてものお礼に先生の分のお弁当も作ったんです。よかったら召し上がってくださいね。ボトルに温かいコーヒーも入れました」
「……ありがとう」
「さあ、では今日も元気にまいりましょう。送迎、よろしくお願いいたします!」
「……はい、謹んで送らせていただきます」
私はすっかり使いこなせるようになった松葉づえで、さっさとアパートをあとにする。
車に乗ってからも、先生は不気味なものでも見るようにチラチラと私に視線を送っていた。