愛なんて要らないはずでした~逃げるために嫁いだのに、心まで奪われています~
「えぇ。私に旦那様を譲ってね。貴女の結婚を邪魔してごめんなさい」
「え、えぇっと……」
まだ事態を吞み込めていない義妹は戸惑いつつも少し嬉しそうに頬を緩める。
破談になったのではなく、嫁ぐ相手が元々私だったという噂が流れるよう商団のメンバーに頼んできたので、きっと彼女の結婚相手も問題なく見つかるだろう。
(それでも善良なふたりを巻き込んだのは私だわ)
身勝手をした罪悪感で心が重たくなるが、私にできるのはここまでだった。
「本当に本当に巻き込んでごめんなさい。ありがとうございました」
一方的なお礼を口にすると、私へ暴力を振るってきたことも事実だったからか、少し気まずそうにふたりが顔を背ける。だが、罵倒も暴力も私にとってはこの計画のために必要だった。
「ふたりの未来に、幸多からんことを」
(そしてできれば少しでも早く、彼女たちが安全な場所へと避難してくれますように)
叩かれた頬がじんと痛むが、その痛みが少しだけ私の罪悪感を薄めてくれる。そして熱を持った頬が、これからやっと『生きられる』という希望を見出したようで、私は乗り込んだ馬車で両目を瞑った。
「どんな人なのかしら」
「え、えぇっと……」
まだ事態を吞み込めていない義妹は戸惑いつつも少し嬉しそうに頬を緩める。
破談になったのではなく、嫁ぐ相手が元々私だったという噂が流れるよう商団のメンバーに頼んできたので、きっと彼女の結婚相手も問題なく見つかるだろう。
(それでも善良なふたりを巻き込んだのは私だわ)
身勝手をした罪悪感で心が重たくなるが、私にできるのはここまでだった。
「本当に本当に巻き込んでごめんなさい。ありがとうございました」
一方的なお礼を口にすると、私へ暴力を振るってきたことも事実だったからか、少し気まずそうにふたりが顔を背ける。だが、罵倒も暴力も私にとってはこの計画のために必要だった。
「ふたりの未来に、幸多からんことを」
(そしてできれば少しでも早く、彼女たちが安全な場所へと避難してくれますように)
叩かれた頬がじんと痛むが、その痛みが少しだけ私の罪悪感を薄めてくれる。そして熱を持った頬が、これからやっと『生きられる』という希望を見出したようで、私は乗り込んだ馬車で両目を瞑った。
「どんな人なのかしら」