甲子園より君が気になる
初めて声をかけた日
初めて声をかけた日
「下の人って、真美のことかな」白鳥家には、明智家の妹、里香の声は聞こえていた。今日は、白鳥家、真美の弟、裕太の運動会。里香と裕太は同じ幼稚園に通う。一週間前
「吾郎、里香の運動会は来るでしょ」吾郎はもちろん一つ返事をした。
「お兄ちゃんなにしてるの」吾郎は二階のベランダから遠くを眺めている。里香はそれ以上は、理解してるのか無言でいる。その遠くの道を真美は歩いている。野球部の部活が終わり一足先に早くに家に帰りつき、毎日、真美が、下校してる姿を眺めている。真美とは、住んでいる世界が少し違うような気がしていた。それでも、真美が帰ってくる時間になると、吾郎は自然にベランダへ出ていた。その日も、真美はいつもの道を歩いていた。吾郎は、ふと思った。今日は、声をかけてみよう。ベランダを離れ、階段を駆け下りる。玄関を飛び出すと、真美の姿はもう団地の角に差しかかっていた。吾郎は走った。そして、少し離れたところで立ち止まった。
「……真美ちゃん」
初めて、自分から声をかけた。真美が振り返る。吾郎は胸が高鳴った。
「……なに?」
「いや……その……」
言いたいことは、何も考えていなかった。ただ、毎日見ていた彼女に、一度でいいから声をかけてみたかった。真美は首をかしげる。吾郎は顔を赤くしながら、ようやく言葉を絞り出した。
「明日の運動会……裕太、頑張るといいね」
「うん。ありがとう」
真美が笑った。それだけだった。けれど吾郎にとっては、それが忘れられない一日になった。二階のベランダでは、里香が二人の姿をじっと見ていた。そして、小さな声でつぶやいた。
「やっぱり、お兄ちゃんの好きな人は下の人だ……」
「下の人って、真美のことかな」白鳥家には、明智家の妹、里香の声は聞こえていた。今日は、白鳥家、真美の弟、裕太の運動会。里香と裕太は同じ幼稚園に通う。一週間前
「吾郎、里香の運動会は来るでしょ」吾郎はもちろん一つ返事をした。
「お兄ちゃんなにしてるの」吾郎は二階のベランダから遠くを眺めている。里香はそれ以上は、理解してるのか無言でいる。その遠くの道を真美は歩いている。野球部の部活が終わり一足先に早くに家に帰りつき、毎日、真美が、下校してる姿を眺めている。真美とは、住んでいる世界が少し違うような気がしていた。それでも、真美が帰ってくる時間になると、吾郎は自然にベランダへ出ていた。その日も、真美はいつもの道を歩いていた。吾郎は、ふと思った。今日は、声をかけてみよう。ベランダを離れ、階段を駆け下りる。玄関を飛び出すと、真美の姿はもう団地の角に差しかかっていた。吾郎は走った。そして、少し離れたところで立ち止まった。
「……真美ちゃん」
初めて、自分から声をかけた。真美が振り返る。吾郎は胸が高鳴った。
「……なに?」
「いや……その……」
言いたいことは、何も考えていなかった。ただ、毎日見ていた彼女に、一度でいいから声をかけてみたかった。真美は首をかしげる。吾郎は顔を赤くしながら、ようやく言葉を絞り出した。
「明日の運動会……裕太、頑張るといいね」
「うん。ありがとう」
真美が笑った。それだけだった。けれど吾郎にとっては、それが忘れられない一日になった。二階のベランダでは、里香が二人の姿をじっと見ていた。そして、小さな声でつぶやいた。
「やっぱり、お兄ちゃんの好きな人は下の人だ……」
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