きみと、どうかしてる。

『会いたい。』



電話口から聞こえてきたのは、大きく息を吸う音。

そして、その直後。


『もっしもっしかーめよー!かーめさーんよー!』

「っ、」

耳をつんざくような声が聞こえて、反射的にスマホを遠ざける。

声デカすぎるだろこいつ、そのうち鼓膜破られそう。

「………………」

幸い、隣の女はまだ静かにしてる。
顔は般若だけど。

今のうちに最速で通話を終えようと、リアクションしたい気持ちを押し殺して。

「何の用?」

『用?用件はねー………

って、はぁ!?なに今の言い方感じ悪!トゲトゲ増量フェアの真っ最中ですかぁー??』

「………」

『今日は一人でいいやって思ってたんだけど、急に。ほんと急にね!?』

「………」

『"わぁやばい。今すぐこの目で千尋(ちひろ)の姿を確認しないといけないかもって。じゃないと、気になって気になって楽しく飲めないかも!"って気持ちが溢れてきたんだけど、金曜の夜だし?』

「………」

『忙しくしてるだろうから、電話しないほうがいいかなーって、最初は思ったの』

「………」

『でもね、よく考えてみたらね。
千尋は超超超!いくつ超を付けても足りないくらい優しいからさ?』

「………」

『どれだけ忙しくても、電話くらいは出てくれるだろうから、一旦聞いてみますかねぇ~という結論に至りましたので、お電話差し上げた次第でございます!』

「……はぁ、そう。」


人の気も知らないで、だらだらとまくし立てたかと思えば、今度はゲラゲラと笑い声が聞こえる。

相手がこいつじゃなかったら、話の途中で切ってるレベルの内容だけど。

…なんつーか、いつも楽しそうでなにより。

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