きみと、どうかしてる。
「なぁ、」
「ん?なぁに?」
「そろそろ帰る?」
「えっ」
「もうだいぶ遅いし、」
「………」
「優等生なんじゃなかったっけ?」
今日も例に漏れることなく、1時間経っても2時間経っても話が尽きることはなくて。
"帰る準備しな"と、促した俺の判断は間違っていないと思う。
「えー!!さっき来たばっかりだよ!?」
「全然"さっき”じゃねーよ。
つーか、当然のように夜中までいるけど、お前そもそも高校生、」
「あーーー!ストップストップ!!
個人情報取締り警察です!逮捕ですよ!!」
言い終わるよりも先に手で口を塞がれて、ぐいっと引き寄せられる。
「言っちゃダメでしょ、それは。
ここでのあたしは天才優等生じゃないの!」
その気になればキス出来るくらいに近付いて、小さい声で詰めてくる。
……なにこいつ。酒臭すぎ。
「じゃあ何者?」
「なにって、えー…素敵無敵のお姉さん!自称二十歳!」
「………」
「あぁもう!亜美子ちゃん最大級の機密事項なのに。なーんで口を滑らせちゃったかなぁ、昔のあたしってば…」
「………」
「あ、もしかしてお腹すいてきた?だから帰りたいの?さっきから全然食べてないもんね!
はいどうぞメニューこちらです!」
当たってるでしょって顔で見当違いなことを言って、無邪気に笑って見せるから。
この店のオーナーも、何も言う気になれなくて、仕方なく許してしまったんだろうなと想像がつく。
この顔は、なんつーか。文句を言う気が失せる。