きみと、どうかしてる。

「いらない。腹減ってない」

「えぇー?じゃあ何か飲む?」

「飲まない」

「なによ!何もいらないじゃん!千尋何しに来たの!?」

「なにって……」

「…あ!もしかして、」

神妙な面持ちでまた顔を近付けてくるから、反射的に距離を取る。

「オーナーにあたしのこと、"早く帰らせて"って頼まれてるでしょ!」

「………」

「うわ、図星だ!図星なんだ!?

あーあー、やだやだ。ちょっと夜更かしするくらいいいじゃん。大人は頭が凝り固まってて困りますなぁ!!」

……本当に困ってるなら、俺なんかに頼ることなく、強制的に帰らされてると思うけど。

ここで素直に、"亜美子に会いに来ただけ”なんて言ってしまえば、朝まで帰れなくなるかもしれないから。

オーナーには悪いけど。今はそういうことにしておくか。

「高校生の飲酒と深夜外出は、そもそも許されねーんだよ」

「なんで?過度な甘やかしだから?それとも法律違反?もしくは優しさの履き違え??」

「そこまで分かってんなら、早く立て」

「えぇ!!千尋はいっつもそうやって……あ、あたしを、ばかに…うわーん!」

テーブルに顔を伏せて泣き真似を始めた亜美子に向けて、"また始まった"と聞こえないくらい小さく呟く。

「バカにしてない。ずっと話聞いてるだろ」

「途中聞いてなかったけどね」

「………。
今日だって、これでもかってくらい譲歩したつもりなんだけど」

「これで??全然足りない!もっと甘やかしてほしい!」

「は?」

「そもそも今日は、千尋が来るの遅いからこんな時間になったんだもん。あたしは悪くないもん!」

「駄々こねるな」

「あ!またそうやって子ども扱いする!!」

子ども扱いもなにも、ついこの間まで義務教育受けてたんだから。正真正銘まだ子どもだろ。

…なんて正論を言うと、今より状況が悪化することは分かりきってるから。とりあえず頭を撫でておく。

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