きみと、どうかしてる。
「あー!ちょっと真紀!!
あれだけやめておきなさいって言ったのに!」
突然、知らない女の子が慌てて彼女を引き剥がしてくれる。
「ごめんねー、谷村さっ」
「どうしても諦めきれないの!」
「それは真紀の勝手でしょ。放っておいてあげなよ!」
「やだ。だって谷村さん、友達が"いらない"んじゃなくて"なれない"って言うから」
「えっ?」
今まで誰一人として、言い方なんか気にしなかったのに。
ていうか、本人のあたしですら。気付かなかった些細なことなのに。
……反抗心が、無意識に言葉に滲んでいたらしい。
「? 同じじゃない?」
「違うよ。全然違う!
本当は友達が欲しいのに作れないんだとしたら、悲しい思いをしてるなら、誰かが助けてあげなきゃ」
「でも、本人が嫌がってるのに、無理やり知る権利はないでしょ?」
「わかってる。だから教えてもらうために、"友達になってください"ってお願いしてるの!」
誰もが無視できないほどの大声で押し問答を繰り広げて、人が集まらないわけがなくて。
別のクラスの人達が集まってきているのが、ドアの方を向いているあたしにはよく見える。
……よく見える分、この騒ぎの当事者であることが、注目されていることが。恥ずかしくて。
「とっ、とにかく!友達にはなれなっ……
ならないから!」
「あっ、谷村さん、」
「ごめんなさい!」
早く逃げなくちゃと、人だかりに突っ込むと、みんなすぐに退いてくれた。これが不幸中の幸いってやつか。
「谷村さん待ってよ!」
「真紀、やめなって!」
教室から抜け出した後も、まだ大きな声が聞こえてくるから。
早くその声を振り切りたくて、全力で走った。