きみと、どうかしてる。

「ねぇ、どういうこと?」

雰囲気が変わったくらいで動揺してしまったことは認めるけど、納得はいかないから。

会ったら、絶対嫌がらせしてやる。
大人をからかった罰として。

ここからどれくらいかかるだろう。
スマホ、煙草、財布、車のキー。

あとはもう何も、

「千尋!」

「っ、」

部屋中にこだまするほどの大きな声に、思考も、煙草を取ろうと伸ばした手も。反射的に止めてしまう。

……あ、そうだ。この面倒な問題が残ってた。


「何を言われたのか知らないけど、あたしは今日会えるの、すごく楽しみにしてたんだよ」

「………」

「やっと会えるって、嬉しかったのに!!」

「っ、」

"女"で括れば、電話の向こうも、隣のこいつも同じなのに。

相手に対する自分の感情がまるで違っていて、この女が不憫過ぎて笑いそうになる。

どうしていつも、ヒステリックな女ばかり引き寄せてしまうんだろう。

女運のなさと、見る目のなさに。
毎度のことながら溜め息が出る。

「今日は私の番のはずじゃん!」

「そんな、横入りとか。許されるの!?」

「何とか言ってよ!」

言葉を重ねるごとに大きくなる声が不快で、無言のまま立ち上がって、ドアの方に足を向けると。

……鬱陶しいことに、逃がさないと言わんばかりに女の両腕がキツくまとわりついてくる。

この女の評価は、可もなく不可もなく。

勝手に勘違いして、勝手に機嫌良くなるような手間のかからないやつだったから、関係を続けてたけど。結局こうなるのか。

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