きみと、どうかしてる。
道が混んでいたせいで、予想よりだいぶ遅くなってしまった。
さすが、花の金曜日と言われるだけある。
電話を切ってから結構時間が経ってるけど、連絡は一度もない。
もしかしたら、今行っても呼びつけたこと覚えてないかも。酔っ払いだし。
若干の不安を抱えつつ目的の店に入ると、すぐさま声が飛んでくる。
「あっ、千尋さーん!!」
「お疲れ」
その声の主はアルバイトの奈央で、待ってましたと言わんばかりに俺の元に駆けてくる。
「早くいつもの席行ってください!待ちくたびれてますよ!」
そう言って奈央が指差した方に視線を向けると、カウンター席に座っている酔っぱらいバカ。
もとい、俺を呼び出した張本人を発見した。
「だからさぁ、言ってやったの!」
「うんうん」
「そしたらね、レジの人が、」
「亜美子。」
「ん!?」
「声デカすぎ。普通のボリュームで喋れねーのかよ」
背後から声をかけて、手にしていたコップを取り上げると、風を切るほどの凄まじい勢いで振り返る。