婚約者の溺愛が重すぎて、普通の恋ができません!
「毎日連絡してこないし、待ち伏せもしない。少しずつ仲良くなって、映画デートとかして。三回目のデートで手をつなぐの。五回目のデートではキスもして……」
「そう」
「そもそも、お互い何もかも一から知っていくのが普通だし、理想なの。絶対、京志郎とじゃ無理!」
一から知っていくのは絶対に京志郎とは無理だ。だって私たちは、お互いに嫌って程知っているのだから。
少なくとも私は京志郎のすべてを知っている。嫌だけど、家族みたいなものだ。
――でも恋はダメ。恋は、僕とするって決まってるから。
だから、あんなこと言われても困る。
「わかった」
京志郎が呟くと同時に、私はパッと顔を上げた。
「やっとわかってくれたの!?」
「でも今日はもう遅いから早く部屋に入って。そこまでは見送っておく」
なんだか解せない提案だが、部屋に入られるよりましか……。
私は仕方なく素直に頷き、部屋の中に入った。


