海色の恋〜冷徹社長の甘い愛に染められて〜
時透社長の家に着いた途端、キスが降ってきた。頬に、首筋に、鎖骨に、そして唇に。一度だけじゃない。何度も、何度も。

「ま、待って…ほんと待って! しゃ、社長!」

ソファに腰を下ろした途端、力が抜けそうになる。そんな私を余裕のある表情で見下ろしていた。そして、ネクタイをゆっくりと緩める。

「社長はやめろ」

「え…?」

「海人だ」

「か、海人…さん」

恐る恐る呼んでみる。すると、海人は満足そうに口元を緩めた。

「よくできたな」

「え?」

「ご褒美だ」

そう言って、また唇が重なる。

「…っ」

甘い。甘すぎる。あんなに冷たい顔をしていた人なのに。今、私を見つめる瞳は驚くほど優しく、ひどく愛おしそうに目を細める。

「ダメです」

私は両手で顔を隠した。

「何がだ?」

「こんなの…」

指の隙間から、海人を見つめる。

「ハマったら…抜け出せなくなります」

すると海人は、少しだけ目を見開いた。次の瞬間。そっと私の両手首を掴んで、顔から離す。逃げられないようにするというより、確かめるような優しい手だった。

「悪いが、俺もだ」

「え?」

海人の瞳が、まっすぐ私を射抜く。

「美月にハマって、もう抜けられなくなる」

その声には、いつもの余裕がなかった。

「だから責任を持って、最後まで俺を愛してくれ」

胸が大きく鳴る。そして海人は、少しだけ笑った。

「その代わり――俺にも、君を愛させてくれ」

耳元で囁かれた言葉が、甘く胸の奥へ落ちていく。

「身体も、心も…全部、俺に預けろ」

あまりにも甘くて、魅惑的な言葉。私はもう、何も言えなくなっていた。
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