海色の恋〜冷徹社長の甘い愛に染められて〜
「いただきます」

そっと手を合わせて、フレンチトーストを一口。おいしすぎる。

「おいしい?」

海人が小首を傾げながら、私の顔を覗き込む。

「美味しいです。幸せです」

思わず笑顔になると、海人は目を細めて、嬉しそうに微笑んだ。

「それはよかった」

そう言ってから、何かを思い出したように「あ」と声を漏らす。

「そうだ。ワンピースも用意したんだ」

「ワンピース?」

「気に入ってくれたら、今日それ着てデートしよう」

そう言われて、海人の視線を追う。部屋の隅には、いつの間に用意したのか、カバーのかかった服が置かれていた。近づいてカバーをめくる。から出てきたのは、ネイビーのワンピース。ウエストには細いベルトがあしらわれていて、シンプルなのに上品で可愛い。

「…いいの?」

「もちろん」

「ありがとう」

嬉しくなって、思わず頭を下げる。食事を終え、メイクを済ませる。そして、もらったワンピースに身を包んだ。鏡の前で一度くるりと回ってから、少し緊張しながら部屋を出る。

「ど、どうでしょう?」

海人の前に立った瞬間――ぴたりと動きが止まった。

「海人?」

目を見開いたまま、じっと私を見る。やがて、ゆっくりとこちらへ近づいてきた。

「可愛すぎるな…俺のお姫様は」

「…っ」

恥ずかしくなって、思わず視線を逸らす。すると海人は、真剣な顔でワンピースを見つめた。

「どうしよう」

「え?」

「やっぱりズボンにするか」

「なんで!?」

思わず声を上げると、海人はいたって真面目な顔をしている。

「だって、可愛すぎるから。こんなの着て歩いてたら、みんな見る」

「みないよ」

「やっぱりズボンに――」

「絶対いや!」

慌ててワンピースの裾を押さえると、海人がふっと笑った。その顔を見た瞬間、胸がきゅっとなる。
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