加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
「はい、南署捜査一課です」

あたしは受話器を取った。

『そちらに、吉井孝之さんという刑事さんはいらっしゃいますか?』

「吉井さんですか? 今、外に出てますけど……」

『実は――』

「えっ?」

思わず声が出た。

大山先輩がこっちを見る。

「それ、本当に吉井さんですか?」

『はい。身分証も確認しています』

「……分かりました。すぐに向かいます」

受話器を置くと、課長が顔を上げた。

「加納くん、どうした?」

「吉井さんが……電車の中で痴漢したって。捕まったそうです」

「はぁ!?」

大山先輩が立ち上がった。

「吉井さんが痴漢?」

苫利先輩も振り返り、鮎川さんの手が止まった。

「何かの間違いじゃないのか?」

「でも……身分証も確認したって……吉井さんの名前、孝之さんでしたよね?」

さっきまでの南署の空気が、一瞬で変わった。
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