加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
人混みの向こうから、大山先輩が歩いてくる。

その隣には――

赤い帽子の男。

大山先輩に腕を掴まれ、俯いている。

「大山先輩!」

思わず駆け寄りそうになって、足を止めた。

「捕まえたぞ」

大山先輩が男の手からスマホを取り上げる。

「中身は?」

久世さんが聞いた。

「まだ確認してない。本人の前で確認する」

大山先輩の声が、いつもより低い。

赤い帽子の男は何も言わない。

あたしは自分のスカートを見下ろした。

あのスマホが、どこを撮っていたのか。

考えた瞬間、身体がぞくっとした。

「欄」

呼ばれて顔を上げる。

大山先輩が、まっすぐあたしを見ていた。

「……大丈夫か?」

「はい」

そう答えたけど、声はまだ少し震えていた。

大山先輩は何も言わず、自分の上着を脱いだ。

そして、あたしの肩にそっと掛けた。

痴漢と、盗撮。

二人とも、捕まった。
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