加納欄の冤罪シリーズ33シーズン4
大山先輩の背中が、人混みの中へ消えていく。

追いかけたい。

あたしなら、すぐに追いつける。

でも――

ダメ。

あたしは、その場に残った。

「加納さん、大丈夫ですか?」

水城さんがあたしのそばに来る。

「はい」

答えた声が、自分でも分かるくらい震えていた。

さっきまで触られていた感覚が、まだ身体に残っている。

「俺は何もしてない!」

痴漢男が大声を上げた。

「勝手に触ったことにするなよ!」

「犯行は確認しています」

久世さんがきっぱりと言った。

「駅で詳しく話を聞きます」

三枝さんと榊原さんが、男を車外へ連れ出す。

あたしも水城さんと一緒にホームへ降りた。

足に、うまく力が入らない。

……怖かった。

分かってて乗った、あたしでもこんなに怖かったんだ。

あたしは右耳のピアスに触れた。

小山内さん。

一人で、よく頑張ったね。

その時、ホームの向こうがざわついた。

あたしは顔を上げた。
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