アネモネの花
だけど――小さな期待は再び簡単に崩れ去ることになる。

次の日の電話で紘人は申し訳無さそうに言った。


『ごめん!車、修理に出すことになってさ…。長距離走れる代車にして!って頼んだんだんだけど、良く考えたらさ、道分かんねぇし…』


紘人は、いつもナビ頼りだからさぁ…と付け加えた。



“約束”なんて、所詮、絶対的なものではないんだ…と、破るためにあるものだと、そう思ってしまえば楽になる。


約束というものに対して“こういう人なんだ”って割り切ってしまえば、ショックなんて思わない…


そう、思っていたけど、

だけど…


決して、“絶対”ではなく“曖昧”…だった約束は、私が、どんなに考え方を変えようとしても、なぜか心がぽっかり穴が開いた気分になるのは変わらなかった。
< 53 / 185 >

この作品をシェア

pagetop