ただいま!没入恋愛ちゅ
「軽いっ!そうやって軽々しく誘わないでください!まっつん…、彼いるんで!」
今わたしがどれだけ嫌な顔してるか。
……伝わらんか。
口を歪めていると、

『まっつんて誰?』

「彼です…」

『ふーん。婚約者じゃない?』

「ちょっと!自虐ネタ?そういうのダサい」
この人、あのスキャンダルを反省してないんじゃ?

『で、そいつが君を泣かせた奴?』

「……」

『とりあえず明日俺オフだしさ、デートしよ』

「ちょっ!勝手に決めないでください」

『大丈夫。俺って変装名人だから!それに今は恋愛より仕事って思われてて…意外とノーマークだし。ハハハ』

「ハハハじゃないです。
しかも問題はそこじゃないし!ほんとにやめてくださいっ」



「モモーーーーーーー!」
ドア口から聞こえる弾けた声、
いつも元気で陽気な、まっつんだ。

ドアを開けてすぐに、わたしに飛びつくように抱きつく。大型犬。

「モモ!会いたかったよーー!」
きつくハグされて一瞬息がつまる。

いつもの見慣れたスーツとカバン。営業の合間に寄ったのかな。

「ほんとごめんな!俺が女心、理解しなさすぎてモメちゃうよね、でもほんっとにモモが1番好き!可愛いモモーーーっ」

はい通常運転。変わらない、いつものまっつん。

「……う、うん」
でも今日は何故か
わたしもー!て、いつもみたいに言えなかった。

『もしもーし。お取り込み中すみませーん!シオンと申しますけど』

……え?

「ん?なんかいま聞こえなかった?」

あーーーーー電話切り忘れてたぁぁ

左手に持ってたスマホをあわてて切ろうとしたけど、それに気づいたまっつんがスマホを取り上げた。
そしてスピーカーを押す。

「あれ?...どちらさま?」

『まっつんさんどーも、シオンです。俺、彼女と付き合いますから』

え?え?ええええぇぇぇーーー………

何を言い出すのこの人は!
待って待って、まっつん違うの!

シオンはさらに、『で、明日デートします』
と言い放った。
わたしはまっつんの両耳を塞ぎたくなる衝動に駆られていた。

まっつんは眉間に皺を寄せて、わたしをジーッと見つめてる。

「ああぁぁぁ違うの!こ、これはその、不慮の事故というか~」

ど、どうしよう、修羅場なんて無理。
ミカーーかむばーっく!

慌てふためくわたしを見ながら、まっつんが何かに気づいたように目を細める。

「もしかして……」

あーやばい、もうダメ。

「kickthroughのシオン?」

あ、え、そっち?

『はい♫というわけで、明日彼女お借りしますね~』

というわけで、じゃないでしょーよぉ。
わたしは思わず両手で顔を隠した。

とんでもない2人の…いや
3人の出会いは、最悪の始まりだった。
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