星降る夜に
Prologue
「沙羅、俺、来月から引っ越すんだ」
放課後の教室で、透はいつものように笑っていた
窓の外は、春の終わりの薄い夕焼けだった
教室にはもうほとんど人がいなくて、遠くから運動部の声だけが聞こえている。
「……そっか」
私は机に頬杖をつきながら、できるだけ普通の顔をした
透は昔から優しい人だった
困っている人がいれば自然に手を差し出して、誰かが一人になっていれば、何も言わずに隣に座る
私が好きになったのも、たぶん、そういうところだった
「寂しくなるな」
透が笑う
私は笑い返した
< 1 / 24 >