嗚呼、愛しのアフロディーテ
「あ、あの……!」
「この顔、気に入ってくれたみたいで良かった」


坂本くんは自分の頬に手を添える。

その仕草がやけにセクシーで、私をはじめとした周りにいる人間はうっとりしてしまう。


それだけの整った顔、みんなイチコロだよ。

目の下には少しだけくまがあるけれど、それも気怠げなダウナー感があって魅力の一つになっている。


「坂本……くん」
「はい、柊さん」
「あ、あの……良かった……学校来てくれて」


さすがに死なないでくれて、とは教室で言えないから濁して言ってみたけれど、坂本くんには伝わっているはずだ。


「ええ……どうせなら死ぬ気で変わってみようと思いまして」


この一週間で、坂本くんの心境が変わった。

髪を切って、眼鏡を外して、イメージチェンジして……何が原動力になったかはわからない。

でも、以前みたいに死のうなんて、少なくとも今は思わないはず。


「そっちのほうが、いいと思うよ」


死ぬ気で何かをしてからでも、遅くない。

現に、変わったことでみんなの見る目が変わったし、周りの女子は坂本くんと話したくてうずうずしている。
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