甘いヒーローの独り占め

12話

扉が開くと、智也について中に入り、エレベーターを待った桜子たち。
チラッと視界に入る智也の荷物を持つ手に、飲み会でのことを不意に思い出してしまう桜子。

沈黙相まって、話題を出せずにいた。
すると、エレベーターが到着してドアが開くと、二人で乗り込んだ。

(…何か話題…えっと…あ!映画教えないと…えっと、アクション系…アクション系…)

「桜子」

「ん!?」

「…いや…桜子がいるのが不思議な感じだ」


智也の言葉で上げかけた顔をまた下に向ける桜子。


「中学以来だけど…4、5年くらいじゃないかな…会ってないの」

「……また会えると思わなかった」

「そうだね…でも、私は嬉しい!」

「…俺もだ」


桜子に優しい眼差しを向けられる、エレベーターが止まってドアが開いた。
先に桜子を降ろすと、智也も降りて歩き出した。

805号室の表札とドアの前で止まると、カードキーを取り出して玄関のドアを開ける。
今度は智也が先に入ると、電気がパッとつき、ドアを支えて桜子を中に迎えた。


「お、お邪魔します…」


玄関のドアが閉まり、施錠をした智也が靴を脱いで上がると、部屋の電気をつけた。


「テキトーにくつろいでていい。少し電話してくる」

「う、うん…っ。あ、冷蔵庫に入れるよ」


ソファー前のテーブルに買ってきた袋を置かれた荷物を見て、桜子は部屋へとやって来る。
ポケットからスマホを取り出した智也は、スマホを耳に当てながら別室へ向かった。


「桜子なら好きに使っていい。…もしもし、黒崎です。お疲れ様です。進捗は…ー」

「……」


別室へ入っていく智也を見送ったあとに、桜子は荷物を持ってキッチンへいった。
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