甘いヒーローの独り占め

14話

「えぇえ!?と、智くんが…!?す、すごいね!!社長さん!?すごい!!」

「ふ…っ、桜子ならそう言うと思った…」


キラキラとした目で拍手する桜子を見ると、智也は笑みをこぼした。
しかし、すぐに笑みが消える智也は、ふぅっと息を吐いた。


「まぁ、父親の会社を継ぎたくなくて作ったつもりが、割と好評で愛着もあった」

「へ~……ん?会社?智くんの家、会社…?え?」

「…S企業ってとこ」

「大手って聞いてるとこ!!CMとかテレビとかで見るとこだよね!?知らなかったよ!!」


智也は部屋の電気を消してドアを閉めると、ソファーへ座った。
別室とソファーを交互に見たあと、桜子は子どもの頃に笑い合った智也を思い返して、少しだけチクンと胸が痛むのを感じる。


(………)

「桜子?」

「あ…びっくりしちゃって…えっと、映画だよね?わ!画面大きい!」

「…桜子」

「飲み物もらっていい?…おすすめの映画はね~…」

「桜子」


コップを取った桜子をじっと見つめる智也は、笑っていた頬をムニッと摘まんだ。


「落ち着け」

「やっぱり…智くんすごいなって…思ってるけど、情報が多すぎて…」

「今まで誰にも言ってないからな。桜子が知らなくて当たり前だ。…会ってなかったわけだから」

「…そっか…そう、だよね…。あはは、びっくりしすぎちゃ…あ!」


気付けば震えていた手からコップが落ちると、服にかかってコップがカーペットの敷かれた床へ落ちる。
慌ててコップを拾い上げた桜子は、あたふたした。


「智くんごめ…!あ、えっと拭くもの…!」


すぐにタオルとティッシュの箱を持ってきた智也は、桜子の服にタオルをあてる。


「待ってろ」


そして、先ほどの仕事部屋の隣の部屋へいった。
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