甘いヒーローの独り占め

17話

「でも、ほんとにごめんね、こんな格好で…お恥ずかしい…。だけど、小さい頃のプール思い出してきちゃった覚えてる?」

「……まぁ…」

「智くんと一緒に行ったプールで水着忘れて…智くんが上着貸してくれたよね」

「………」


桜子へ視線を移す智也の足は、冷蔵庫へと向かう。
エクレアを取った桜子が、冷蔵庫の扉を閉めて振り返ると、智也が真後ろに立っていた。


「…?飲み物?取る、ね…」

「……」


智也の手がトンッと冷蔵庫の扉についたのを見ると、自分の目線と同じ高さの手に止まってしまう桜子。
ドッと心音がうるさくなり始め、ゆっくりと智也を見上げた。


「智」

「あの時とは、もう違うだろ」

「え…」


智也は、もう片方の手を反対の扉につけると、桜子は退路を失った。
代わりに、ジッと見つめてくる智也の静かな視線は、桜子の鼓動を速くさせるには十分だった。


「俺たちはもう子どもじゃない。男と女で」

「智くん…?」

「桜子は女性だ。だから、そういう格好がどれだけよくないかわかってるのか?」

「ご、ごめんね…あの…服乾いたらすぐに」

「違う」


逸らせない視線を見つめたまま、顔を赤くする桜子の肩は震えた。


「意識しない方が無理だ」

「…あの…どういう…?」


少し首を傾ける桜子に、顔を近づける智也に驚いて、咄嗟に胸を押してしまった桜子。


「あ…ご、ごめ…っ」


桜子の片腕を握ると、ゆっくりと冷蔵庫へ押し当てる智也は、再び顔を近づけて桜子を見つめる。


「俺は男で、簡単に桜子を捕まえられる」
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