甘いヒーローの独り占め

7話


「それじゃあ、新メンバーの歓迎会!お疲れ~!!乾杯!!」

「まじで音頭のセンスないわぁ…乾杯」

「桜子ちゃんも黒崎くんもお疲れ~!」

「はい…!あ、えっと」

「お疲れ様です」


智也は、ウーロン茶が入ったグラスを片手に、桜子のリンゴジュースが入ったグラスとガチンと交わした。
二人の近くに座っている先輩たちともグラスを交わし、料理を食べ始めると、宴が始まる。


桜子の隣に座った女子の先輩が話しかけてくると、最初は緊張した受け答えとなっていた桜子は、次第に笑顔を見せて談笑へと変わった。
智也は、回されてくる料理を摘まみ、男子の先輩に話しかけられては、相槌を打って飲んだ。

それなりの時間が経つと、料理も減って映画の話に花を咲かせ始めるほろ酔いの先輩たち。
桜子は、バッグからメモ帳を取ると、コクコクと頷きながら話を聞いた。


(映画の話…すごい…奥が深い…!)


女子の先輩が立ち上がって席が空き、すかさず部長がやってきて桜子の隣に座る。
智也の視線がチラリと桜子の方から、手元へと向かった。


「桜子ちゃん、お疲れ~!アクション系好きなんだね~!俺も好きなんだけど、ミステリーものも結構好き!」

「ミステリー!演出の方に見入っちゃってて、いつも終わってから改めて考察しちゃうんです…」

「あ、わかるわかる!俺の場合は、考えながら見るの苦手だからなんだけどね。そうだ!連絡先追加してもいい?」

「え、あ…は、は……い…?」


桜子はパッと智也の方へ顔を向けるが、智也は前に座る先輩と話をしていた。


(と、智くん…!?)


テーブルの下で智也が手を握ってきていた。
急に顔を赤らめる桜子を見る部長は、顔を覗き込んだ。

ウーロン茶を飲む智也は、他の席からやってきた別の先輩とグラスを交わす。


「桜子ちゃん?」

「あっ、は、はい!!えと、ミステリーですよね!前に上映されてた映画、み、見ましたか!?」

「え?…あ、あぁ…うん。見たよ。桜子ちゃんも映画館よく行くんだね~」


リンゴジュースを飲む桜子は、胸の鼓動が速いのを感じた。
智也から握られた手は、ゆっくりと指を絡められて繋がれる。
< 7 / 22 >

この作品をシェア

pagetop