姉に初恋を奪われた私は、もう黙らない ~Silent Summer~
他人の懐に入るのが上手な睦美が、万が一にも味方を作らないよう、徹底的にその人間関係を壊したい。
「たとえば睦美が油断するような場所で私とふたりきりになれば、いつもの睦美になると思うんだ。そこをこっそりみんなに見せるとか、そんなのが理想なんだけど」
「大学生だったら学園祭とかサークルのイベントとかありそうだけど」
「うーん」
学園祭は秋だし、サークルの歓迎会などは終わっているようだし。
「なら合コンとか?」
「合コンかあ、問題は私が睦美の交友関係に手を出せないってことなんだよね。それに、私が誘っても誰も来てくれないよ」
「……」
麗が指先を顎に当てて考え始めた。
私も、腕組みをして眉間を寄せて悩む。
「あ」
急に閃いた。
「ちょっと前に、睦美に紹介された人がいるんだけど」
須賀のことを思い出した。
私に酷い言葉をぶつけてこなかった『睦美の男』は彼だけだった。根が優しい人なのだろう。
彼なら、メンバー集めぐらいは引き受けてくれるんじゃないだろうか。
「連絡先分かるの?」
「……わかんない」
こんなことならあのとき、もう少し仲良くしておくんだった。
「でも同じ大学だし学部は知ってるし、何とかなると思う!」
私は自分に言い聞かせる。……大丈夫。きっと。……無理でもなんとかしよう!
「今のむーちゃん、なんか子供の頃を思い出すよ」
しみじみと言う麗に、私は心から笑顔になった。
……そうだね、昔の私は“こういう私”だったよね
「ねえねえ、私にもその彼、紹介して! 私も協力したい」
「ありがとう!」
ひとりになった瞬間の須賀に接触し、連絡先を交換することに成功した。