君の手を掴むための遠回り

俺の腕には彼女の手が絡みついていた。


​『大人になっても、俺の一番は瑠華だから』


​あの日の誓いを自ら踏みにじり、寂しさに負けて女子を乗り換え、手首にお揃いのリングなんてつけて汚れてしまった俺。

ずっと一途に俺を待っていてくれたかもしれない綺麗な瑠華の前に、今の俺がどうして立てるというのだろう。

​あの衝撃的な再会を果たしてからというもの、俺の精神は完全に狂い始めていた。

​週末、休日に当時の彼女と映画を見に行ったり、買い物に出かけたりしていても、俺の思考はどこか遠くに飛んでいた。

目の前にいる彼女の笑顔を見ているはずなのに、脳裏を掠めるのはいつも校舎の影や図書室で見かける瑠華の横顔ばかりだ。

会話の返答も自然と上の空になり、生返事ばかりが増えていく。


​「……ねえ、神楽くん。どこ見てるの?」


​放課後、彼女の家に呼ばれた夕暮れの室内。

ベッドの端に腰掛けた彼女が、不安と焦燥の入り混じった瞳で俺を見つめていた。


​「え? ああ、ごめん。ちょっと考え事してて」

​「うそ。最近ずっとそうだよ。私と一緒にいるのに、本当は誰のこと考えてるの……?」

​
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