恋と焦燥のロードマップ
そして、休みの日。
待ち合わせの場所に着くと、約束の時間より少し早かった。いつものように帽子を深く被り、眼鏡をかけている。俳優だと気づかれないためというより、今ではすっかり外を歩くときの癖になっていた。
人の流れを眺めながらスマートフォンを確認していると、画面に雫からのメッセージが届く。
『もう着いてる?』
『今着いたところ』
『よかった。私ももうすぐ』
それから数分もしないうちに、人混みの向こうから雫の姿が見えた。
「湊」
俺に気づいた雫が、少しだけ手を上げる。
「おはよう」
「おはよう。待った?」
「全然。俺も今来たところ」
そう答えながら、雫の姿を見る。普段会う時よりも、少しだけ違って見えた。淡い色のトップスに、歩きやすそうな靴。髪もいつもより少し整えているように見えた。遠出だから、と考えて選んできたのかもしれない。
それに比べて俺は、相変わらず帽子を深く被って、メガネをかけている。雫と出会った頃から変わらない格好だ。
「どうしたの?」
「いや…今日、ちょっと雰囲気違うなって」
そう言うと、雫は自分の服に視線を落とした。
「変?」
「変じゃないよ。むしろ、その…似合ってるよ」
本音なんだけど、自分で言ってて恥ずかしかった。
「…そっか。ありがとう」
雫は少しだけ照れたように笑った。その表情を見て、俺も笑う。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
二人で並んで歩き始める。
目的地までは、電車で二時間ほどかかる。普段なら仕事の移動でそれくらいの時間をかけることも珍しくない。仕事では電車じゃなくて車なんだけど。
それでも今日は、同じ二時間が少し違って感じられた。
仕事ではないし、撮影でもない。ただ、雫と一緒に出かけるための時間だった。
電車の中では、目的地に着いてからどこへ行くかを確認したりした。雫がスマートフォンに保存していた写真を見せてくれたり、俺が調べておいた場所の話をしたりしているうちに、二時間は思っていたよりも早く過ぎていった。
「もう着く?」
「あと少し」
窓の外を見ながら答える。
都会の景色が少しずつ減って、代わりに緑が増えていく。
「なんか、遠くまで来た感じするね」
「うん」
雫が窓の外を眺めながら言う。
「こういう景色、久しぶりかも」
「俺も」
待ち合わせの場所に着くと、約束の時間より少し早かった。いつものように帽子を深く被り、眼鏡をかけている。俳優だと気づかれないためというより、今ではすっかり外を歩くときの癖になっていた。
人の流れを眺めながらスマートフォンを確認していると、画面に雫からのメッセージが届く。
『もう着いてる?』
『今着いたところ』
『よかった。私ももうすぐ』
それから数分もしないうちに、人混みの向こうから雫の姿が見えた。
「湊」
俺に気づいた雫が、少しだけ手を上げる。
「おはよう」
「おはよう。待った?」
「全然。俺も今来たところ」
そう答えながら、雫の姿を見る。普段会う時よりも、少しだけ違って見えた。淡い色のトップスに、歩きやすそうな靴。髪もいつもより少し整えているように見えた。遠出だから、と考えて選んできたのかもしれない。
それに比べて俺は、相変わらず帽子を深く被って、メガネをかけている。雫と出会った頃から変わらない格好だ。
「どうしたの?」
「いや…今日、ちょっと雰囲気違うなって」
そう言うと、雫は自分の服に視線を落とした。
「変?」
「変じゃないよ。むしろ、その…似合ってるよ」
本音なんだけど、自分で言ってて恥ずかしかった。
「…そっか。ありがとう」
雫は少しだけ照れたように笑った。その表情を見て、俺も笑う。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
二人で並んで歩き始める。
目的地までは、電車で二時間ほどかかる。普段なら仕事の移動でそれくらいの時間をかけることも珍しくない。仕事では電車じゃなくて車なんだけど。
それでも今日は、同じ二時間が少し違って感じられた。
仕事ではないし、撮影でもない。ただ、雫と一緒に出かけるための時間だった。
電車の中では、目的地に着いてからどこへ行くかを確認したりした。雫がスマートフォンに保存していた写真を見せてくれたり、俺が調べておいた場所の話をしたりしているうちに、二時間は思っていたよりも早く過ぎていった。
「もう着く?」
「あと少し」
窓の外を見ながら答える。
都会の景色が少しずつ減って、代わりに緑が増えていく。
「なんか、遠くまで来た感じするね」
「うん」
雫が窓の外を眺めながら言う。
「こういう景色、久しぶりかも」
「俺も」