恋と焦燥のロードマップ
目的地を決めて歩き出したものの、途中で気になる店を見つければ立ち止まり、道沿いの景色が綺麗なら写真を撮る。予定通りに進んでいるわけではないのに、不思議と焦ることはなかった。
途中で道を間違えてしまったらしく、二人でスマホの地図を覗き込みがら立ち止まる。
「……こっち?」
「たぶん」
「たぶんって」
「いや、でも方向は合ってると思う」
「湊、さっきから『たぶん』しか言ってないよ」
「雫だってさっき違う道行こうとしてたじゃん」
「私はちゃんと地図見てたもん」
「俺も見てたよ」
「じゃあ、なんで迷うの?」
「……地図が悪い」
「それは無理があるでしょ」
二人で顔を見合わせ笑う。結局、少し遠回りをしながら目的の場所へ向かった。
神社に着く頃には、空がずつ夕方の色に変わり始めていた。人も少なく、昼間よりも静かな境内を並んで歩く。雫が写真をとっている間、俺は少し離れたところで待っていた。
「湊、こっち来て」
「俺も?」
「せっかくだから」
スマートフォンを渡され、並んで立つ。雫が少しだけ俺との距離を詰めて、画面を確認する。
「もうちょっとこっち」
「これくらい?」
「うん」
シャッターが切られる。
「見せて」
「待って」
雫が画面を確認してから、ふっと笑った。
「いい感じに撮れてる」
「ほんと?」
「うん」
俺も画面を覗き込む。そこには、帽子を深く被った俺と、その隣で笑っている雫が写っていた。
こういう写真を撮ることも、いつの間にか自然になっていた。最初の頃は、顔を隠している自分を見られることすら少し気になっていたのに、今は雫と一緒に写っていることの方が嬉しい。
「後で俺に送ってね」
「うん、いつものフォルダ入れとく」
二人の共有のフォルダをついこの間、雫が作ってくれた。ここに二人の思い出をどんどん入れていくことになっている。
「ありがとう」
そのあとは神社を参拝して、健康のお守りを買い、二人とも鞄につけた。
夕方を通り越して、少しだけ空が暗くなると、店先の明かりが目につくようになっていた。
雫は相変わらず、気になる店を見つけるたびに足を止める。そのたびに俺も隣で立ち止まって、二人で店先を眺めた。
「結構歩いたね」
「うん。ちょっと足疲れたかも」
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