恋と焦燥のロードマップ
昔よく通った商店街を抜け、学校帰りに友達と立ち寄っていた公園の前を通る。建物が新しくなっていたり、なくなっていた店があったりして、記憶の中の街と今の街が少しずつ重ならないところもあったけれど、それでも歩いているうちに「あの頃はここでよく遊んでた」とか、「この道を通って学校に行ってた」とか、自然と昔の話が出てきた。
雫はそのたびに楽しそうに聞いてくれた。
「湊って、子どもの頃から今みたいな感じだった?」
「今みたいって?」
「なんていうか……」
雫は少し考えてから、俺の顔を見た。
「今より、もっとやんちゃだった?」
「どうだろう。普通だったと思うけど」
「本当に?」
「うん。たぶん」
「じゃあ、友達と遊ぶときよりも、今みたいに静かだったの?」
「それはないかも」
そう答えると、雫が少し嬉しそうに笑った。
「やっぱり」
「何が?」
「なんとなく、そんな気がした」
「……どんな想像してたの?」
「それは秘密」
そう言って笑う雫を見て、俺も笑った。昔の自分のことなんて、わざわざ話すこともなかった。でも、こうして雫に聞かれると、忘れていた記憶まで少しずつ思い出してくる。
しばらく歩いていると、商店街から少し外れたところに、小さな店が目に入った。
木の看板が出ているだけの、こぢんまりした店だった。俺も初めて見る店だったけど、窓から見える店内の雰囲気がどこか落ち着いていて、雫も同じように気になったらしい。
「ここ、入ってみない?」
「いいよ」
特に予定を立てていたわけでもないから、こういう寄り道も悪くなかった。
店の中には何組か客がいて、観光客向けというより、近所の人が普段から利用しているような雰囲気だった。
窓際の席に座り、注文を終える。
「こういうところ、いいね」
雫が店内を見回しながら言った。
「観光地の店じゃないけどね」
「うん。でも、私はこっちのほうが好きかも」
「なんで?」
「湊が普段見てた景色の中にいる感じがするから」
その言葉に、返す言葉がすぐには浮かばなかった。
俺が育った街を見たいと言って、特別な場所でもないところを歩いて、たまたま見つけた店に入る。
それだけなのに、今日の雫との時間は、どこか特別だった。
店を出たあと、俺たちは実家である旅館へ向かった。
雫はそのたびに楽しそうに聞いてくれた。
「湊って、子どもの頃から今みたいな感じだった?」
「今みたいって?」
「なんていうか……」
雫は少し考えてから、俺の顔を見た。
「今より、もっとやんちゃだった?」
「どうだろう。普通だったと思うけど」
「本当に?」
「うん。たぶん」
「じゃあ、友達と遊ぶときよりも、今みたいに静かだったの?」
「それはないかも」
そう答えると、雫が少し嬉しそうに笑った。
「やっぱり」
「何が?」
「なんとなく、そんな気がした」
「……どんな想像してたの?」
「それは秘密」
そう言って笑う雫を見て、俺も笑った。昔の自分のことなんて、わざわざ話すこともなかった。でも、こうして雫に聞かれると、忘れていた記憶まで少しずつ思い出してくる。
しばらく歩いていると、商店街から少し外れたところに、小さな店が目に入った。
木の看板が出ているだけの、こぢんまりした店だった。俺も初めて見る店だったけど、窓から見える店内の雰囲気がどこか落ち着いていて、雫も同じように気になったらしい。
「ここ、入ってみない?」
「いいよ」
特に予定を立てていたわけでもないから、こういう寄り道も悪くなかった。
店の中には何組か客がいて、観光客向けというより、近所の人が普段から利用しているような雰囲気だった。
窓際の席に座り、注文を終える。
「こういうところ、いいね」
雫が店内を見回しながら言った。
「観光地の店じゃないけどね」
「うん。でも、私はこっちのほうが好きかも」
「なんで?」
「湊が普段見てた景色の中にいる感じがするから」
その言葉に、返す言葉がすぐには浮かばなかった。
俺が育った街を見たいと言って、特別な場所でもないところを歩いて、たまたま見つけた店に入る。
それだけなのに、今日の雫との時間は、どこか特別だった。
店を出たあと、俺たちは実家である旅館へ向かった。