エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
翌朝。
教室に入った瞬間、空気が少し違うことに気づいた。

昨日までは誰も気にしていなかったはずなのに、今日はあちこちから視線を感じる。
ひそひそと交わされる声。
名前を呼ばれている気がして、落ち着かない。

私はなるべく気にしないように席へ向かった。
でも、机の横に立ったところで足が止まる。

机の上に、見覚えのない封筒が置かれていた。

白い封筒。
表には、きれいな字で私の名前だけが書かれている。

「……なにこれ」

そっと手に取った、そのとき。

「開けないほうがいいよ」

後ろから聞こえたのは、女子の声だった。

振り返ると、教室の入口に三人の女子が立っていた。
制服も髪も完璧に整っていて、見るからにお嬢さまという雰囲気だ。

真ん中にいるのは、長い巻き髪が印象的な綺麗な子。
けれど、向けられる笑顔は少しもやさしくない。

「あなた、結城さんよね」

「……はい」

「昨日、少し目立ちすぎたんじゃない?」

言い方は穏やかなのに、背中がひやっとする。
私は封筒を持ったまま、小さく息をのんだ。

「別に、目立とうとしたわけじゃ……」

「でも、鳳城さまにあんなふうに触れられてた」

別の女子が不満そうに口を挟む。

「今まであんなの見たことないんだけど」

「しかも特待生でしょ?」
「ちょっと順位がよかったからって、調子に乗らないでほしい」

胸がずきっと痛む。

やっぱり、こうなるんだ。
家柄も違う。
お金も違う。
頑張ったって、簡単には受け入れてもらえない。

でも。

ここでうつむいたら、だめだ。
私はこの学園で頑張るって決めたんだから。

ぎゅっと封筒を握りしめて、私は顔を上げた。

「……調子には乗ってません」

自分でも驚くくらい、声はちゃんと出た。

「ただ、私は私なりに頑張っただけです」

三人の女子が目を見開く。
< 18 / 70 >

この作品をシェア

pagetop