エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
春の朝。
桜がふわりと舞う名門、私立星蘭学園の正門の前で、私はぎゅっと鞄を抱きしめた。

ここは、限られた人しか通えない特別な学校。
由緒ある家の子息や令嬢ばかりが集まる、まさに別世界の学園だ。

そんな場所に、私は成績特待で入学した。

結城ほのか。
勉強だけが取り柄の、どこにでもいる普通の女の子。

門の前には高級車がずらりと並び、制服姿の新入生たちはみんなきらきらして見えた。
上品な笑い声。
整った髪。
上質そうなバッグや靴。

その中に立つ自分だけが、ひどく場違いな気がしてしまう。

だけど私は、胸の前でそっと手を握った。

大丈夫。
お金や家柄では敵わなくても、勉強だけは負けない。
ここでちゃんと頑張って、私の居場所をつくるんだ。

そう心の中で言い聞かせていた、そのときだった。

「……なにそれ」

低くて綺麗な声が、すぐ近くから降ってくる。

振り向いた私は、思わず息をのんだ。

光をまとったみたいな金髪。
吸いこまれそうになるほど綺麗な瞳。
目を奪われるくらい整った顔立ち。

近寄りがたいほど完璧な男の子が、私の鞄についている小さなウサギのお守りを見つめていた。
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