エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「でも事実、おまえは見られる側になった」

「う……」

「二位なんだから当然」

さらっと言われて、少しだけ頬が熱くなる。

まだ自分では実感できていないのに、鳳城くんは当たり前みたいにそう言う。
それがなんだか悔しくて、でも嬉しい。

「今日の放課後、空けといて」

不意に言われて、私はぱちっと瞬きをした。

「え?」

「勉強」

「勉強?」

「次、一位狙うんだろ」

「それは、そうだけど……」

「じゃあ決まり」

あまりに当然みたいに話を進めるから、私はあわてて身を乗り出した。

「ま、待って。どこで?」

「来ればわかる」

「それがいちばん困るんだけど……!」

鳳城くんはふっと口元をゆるめるだけで、もうそれ以上答えてくれなかった。

放課後。
結局私は、言われた通り校門の前で鳳城くんを待っていた。

周りを行き交う生徒たちが、ちらちらとこちらを見ていく。
それだけでそわそわしてしまう。

本当に来るのかな。
もし来なかったらすごく恥ずかしい。

そんなことを考えていたら、背後からふいに声がした。

「なに、逃げてないじゃん」

「ひゃっ……!」

振り返ると、鳳城くんが立っていた。
相変わらず気配を消して近づくのが上手すぎる。

「びっくりした……」

「おまえが鈍いだけ」

「またそれ」

ぶつぶつ言いながらついていくと、鳳城くんは校舎の裏手へ向かって歩き出す。

「教室じゃないの?」

「うるさいから嫌」

「図書室は?」

「人が多い」

「じゃあ、どこ……?」

私が首をかしげると、鳳城くんは少しだけ振り返って、意味ありげに笑った。

「俺の場所」

その言い方に、心臓がどくっと跳ねる。

連れて行かれたのは、校舎の最上階にある小さなラウンジみたいな部屋だった。
大きな窓から中庭が見えて、やわらかい夕日が差しこんでいる。
本棚とソファ、それに広い机まであって、まるで学園の中の隠れ家みたいだった。
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