エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「すご……」

思わず見回してしまう。
こんな場所、入学案内には載っていなかった。

「ここ、何?」

「生徒会の休憩室」

「えっ」

「俺、生徒会長」

「ええっ!?」

あまりにさらっと言うから、つい大きな声が出た。

鳳城くんは片眉を上げる。

「知らなかったの」

「知らないよ……!」

「興味なさすぎ」

だって、そんなすごいことまで知ったら、ますます遠い人に思えてしまう。

「まあ、今は使ってない時間だから平気」

そう言って、鳳城くんは机の上に鞄を置いた。

「座れば」

言われるまま椅子に座ると、向かいではなく隣に鳳城くんが腰を下ろす。

「ち、近くない?」

「わかんないとこ見んだろ」

「でも……」

「今さら」

そう言われてしまうと、言い返せない。
私はどきどきを隠すように、あわててノートを開いた。

「えっと、どこからやるの?」

「数学」

「即答……」

「おまえ、国語と英語は強いけど、数学は解き方が丁寧すぎて時間食う」

私は目を丸くした。

「なんでそんなこと……」

「見てればわかる」

またそれだ。
でも、そこまで見られていたことに胸の奥がくすぐったくなる。

鳳城くんは私のノートを引き寄せて、さらさらと問題に印をつけた。

「ここ、途中式はきれい。でも多い」

「だって、省いたら不安で……」

「試験は作品づくりじゃない」

「さ、作品……」

ひどい言い方なのに、妙に納得してしまって悔しい。

「じゃあ、どうすればいいの?」

私が素直に聞くと、鳳城くんは少しだけ目を細めた。

「そこ、わかんないなら教える」

そう言って、彼は私のノートに手を添える。
近い。
声も、指先も、全部近い。
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