エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
連れてこられたのは、誰もいない特別棟の階段踊り場だった。
放課後の校舎は静かで、遠くの運動部の声だけがかすかに聞こえる。
鳳城くんはようやく手を離すと、私を見下ろした。
「なんで避けてんの」
いきなり核心を突かれて、息が止まる。
「……避けてない」
「嘘つくな」
低い声。
いつもの意地悪とは違う、本気の響き。
「朝からずっと変。目も合わせないし、逃げるし、昼もいなかった」
全部気づいてたんだ。
そのことに胸が苦しくなる。
「別に……」
「別に、じゃわかんねえよ」
鳳城くんが一歩近づく。
逃げたくても、もう後ろは壁だった。
「俺、何した」
その言い方が少しだけ苦しそうで、余計に胸が痛む。
「鳳城くんは、何もしてない」
「じゃあ何」
言わなきゃ。
そう思うのに、喉がつまってうまく声が出ない。
でも、もうごまかせなかった。
「……婚約者候補って」
やっとそれだけ絞り出すと、鳳城くんがぴたりと動きを止めた。
「昨日、聞いたの」
自分でも情けないくらい、小さな声だった。
「九重さんと鳳城くんが、お似合いだって。家柄も完璧で、昔からつながりがあって……」
言葉にするたび、胸の奥がじくじく痛む。
「だから、私」
そこで声が震えた。
「私なんかが、近くにいたらだめなのかなって思って……」
言い終わった瞬間、沈黙が落ちる。
しまったと思った。
こんなの、みっともない。
勝手に傷ついて、勝手に距離を取って。
放課後の校舎は静かで、遠くの運動部の声だけがかすかに聞こえる。
鳳城くんはようやく手を離すと、私を見下ろした。
「なんで避けてんの」
いきなり核心を突かれて、息が止まる。
「……避けてない」
「嘘つくな」
低い声。
いつもの意地悪とは違う、本気の響き。
「朝からずっと変。目も合わせないし、逃げるし、昼もいなかった」
全部気づいてたんだ。
そのことに胸が苦しくなる。
「別に……」
「別に、じゃわかんねえよ」
鳳城くんが一歩近づく。
逃げたくても、もう後ろは壁だった。
「俺、何した」
その言い方が少しだけ苦しそうで、余計に胸が痛む。
「鳳城くんは、何もしてない」
「じゃあ何」
言わなきゃ。
そう思うのに、喉がつまってうまく声が出ない。
でも、もうごまかせなかった。
「……婚約者候補って」
やっとそれだけ絞り出すと、鳳城くんがぴたりと動きを止めた。
「昨日、聞いたの」
自分でも情けないくらい、小さな声だった。
「九重さんと鳳城くんが、お似合いだって。家柄も完璧で、昔からつながりがあって……」
言葉にするたび、胸の奥がじくじく痛む。
「だから、私」
そこで声が震えた。
「私なんかが、近くにいたらだめなのかなって思って……」
言い終わった瞬間、沈黙が落ちる。
しまったと思った。
こんなの、みっともない。
勝手に傷ついて、勝手に距離を取って。