エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
その日の放課後。
私は鳳城くんと一緒に、晩餐会へ着ていく服を選ぶことになった。

連れて行かれたのは、学園から少し離れた高級店だった。
店内に並ぶドレスはどれも綺麗で、値札を見るだけで目が回りそうになる。

「こ、こんなの無理だよ……!」

「何が」

「値段が……!」

「気にするな」

「気にするよ!」

私が小声で叫ぶと、鳳城くんは呆れたように笑った。

「おまえは本当に庶民だな」

「庶民です!」

「開き直るな」

「だって事実だもん」

鳳城くんは店員にいくつかのドレスを見せてもらい、その中から淡い水色のワンピースを選んだ。

「これ」

「えっ、私が選ぶんじゃないの?」

「おまえは迷いすぎる」

「でも……」

「似合う」

あまりに迷いなく言われて、私は言葉を失った。

「着てみろよ」

試着室で着替えて出てくると、鳳城くんはソファに座ったままこちらを見た。

その瞬間、彼の表情が止まる。

「……どうかな?」

不安になって尋ねると、鳳城くんはゆっくり立ち上がった。

「それで行く」

「え?」

「それ以外は着なくていい」

「そんなに変?」

「逆」

鳳城くんは私の前まで来ると、肩にかかった髪をそっと払った。

「他のやつに見せたくない」

胸が大きく跳ねる。

「でも、晩餐会ってたくさん人がいるんだよね?」

「だから嫌なんだよ」

「鳳城くん……」

「俺の隣にいろ」

低い声で言われて、私は小さくうなずいた。

週末。
鳳城家の屋敷は、まるで映画に出てくるお城のようだった。

大きな門。
広い庭園。
何台もの高級車。

私は玄関前で立ち尽くしてしまう。

「すごい……」

「見とれてる場合じゃない」

隣に立つ鳳城くんが、私の手を取った。

「行くぞ」

「う、うん」

扉が開く。
中へ入った瞬間、たくさんの視線が私に集まった。

その中には、九重麗華の姿もあった。

彼女は私を見ると、ほんの少しだけ目を細める。
けれど、すぐに鳳城くんへ視線を移した。
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