エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「鳳城くん……」

カイルくんは不機嫌そうな顔で、私たちを見下ろしていた。
朝の光を受けた金髪が、今日も信じられないくらい眩しい。

「なにしてんの」

「えっと、朝比奈くんが勉強でわからないところがあるって……」

「ふうん」

短い返事。
なのに、空気が少し冷える。

朝比奈くんは気まずそうに苦笑した。

「いや、結城さん教えるの上手くてさ。助かってたんだよ」

「そう」

「鳳城も聞く? 結城さん、かなりわかりやすい」

その瞬間、カイルくんの目がすっと細くなった。

「別に。俺は困ってない」

言い方はいつも通りなのに、なぜか少しだけ刺がある。

私はその雰囲気におろおろしてしまう。
するとカイルくんは、私の机の上のノートをひょいと持ち上げた。

「わっ」

「ずいぶん丁寧にまとめてんじゃん」

「ちょ、ちょっと返してください……!」

「やだ」

「やだって……」

朝比奈くんが困ったように笑う。

「鳳城、それ結城さんのだろ」

「見ればわかる」

「なら返してやれよ」

「なんで」

まるで子どもみたいなやりとりなのに、カイルくんの視線は笑っていない。
私は立ち上がってノートを取ろうと手を伸ばす。
けれど背の高いカイルくんは、ひらりとかわしてしまった。
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