目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
蓮の温かい体温と柔らかな言葉に、真由の緊張が解けかけた――その時だった。

​「――お久しぶりですわ、蓮」

​風がなびくような優雅な足取りで近づいてきたのは、シャンパンゴールドのドレスを完璧に着こなした1人の女性だった。

東堂香奈江。

大手投資銀行「東堂キャピタル」の最年少取締役であり、旧貴族の血を引く名家の令嬢だ。

流暢なフランス語で他国の公使と談笑していた香奈江は、極上の微笑みをたたえて2人の前に立った。

​「相変わらず見事な手腕ですこと。中東のプロジェクト、欧州の介入を排してアジア主導でまとめ上げられたとか。貴方らしい、鮮やかで力強い判断ですわ」

​「東堂香奈江……。君が日本にいたとはな」

​鷹司の声からは、先ほど真由に向けられていた甘い熱量が影を潜めていた。

氷のように冷やかなビジネスの響きへと一変していた。

​
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