目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
「泥を啜り、全社リスクを潰し、命懸けで俺の背中を守り抜いたのがこの市川だ。教養を着飾るだけの人間には真似のできない、本物の誇りを持っている。……これ以上彼女を侮辱するなら、君との会話はここまでだ。失礼する」

​鷹司は静かに一礼すると、香奈江に反論の隙すら与えず、真由の腰を優しく抱えてその場を後にした。

バルコニーから見下ろす東京の夜景は、先ほどまでの絢爛豪華な宴が嘘のように静まり返っていた。

​肩にかけられた鷹司のタキシードジャケットからは、鷹司が愛用するローズウッドの香りと、心地よい体温が伝わってくる。

​「……副社長」

​「蓮、だ」

​耳元で落ちてきた低い声に、真由の胸が跳ねる。

2人きりの時ですら、社内での癖でつい「副社長」と呼んでしまう真由。

鷹司は優しく、だが逃がさないように抱きしめ直した。

​「ここでは2人きりだ。真由」

​
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