目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
「……蓮さん」

​「それでいい」

​鷹司は満足そうに微笑むと、真由の目元に残るわずかな陰りを親指の腹で静かに拭った。

その手つきは、東堂香奈江の制止を静かに手で制した時の洗練された仕草とは対極だった。

壊れ物を扱うかのような甘さと熱を帯びていた。

​「東堂の言葉に心を痛める必要はない。彼女が口にした『教養』とは、自らの立ち位置を確認するためのものでしかない。君が積み重ねてきた現場での真摯な強さは、決して上辺だけの言葉で測れるものではないのだから」

​「はい……ありがとうございます、蓮さん」

​真由は鷹司の胸に顔をうずめながら、深く息を吐き出した。

​鷹司の言葉に嘘はない。

鷹司が自分を心から愛し、1人のビジネスパーソンとしても、女性としても尊重してくれていることが痛いほど伝わっていた。

​(でも……だからこそ、私はこの温もりに甘えきるわけにはいかない)

​
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