目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
episode9ーーミルクティー
あの夜のエレベーターでの言葉から、数日後。

​真由は、いつもより少し早く会社を出た。

年に1度、総務部で担当している役員用寄託書庫(社外の専用保管倉庫)への書類移管作業が思いのほか早く終わったため、直帰の許可が出ていたのだ。

​時間は午後18時を過ぎたところ。

真由はすっかり秋の冷え込みが厳しくなった街を、コートの襟を立てて駅へ向かって歩いていた。

​(「オフィス以外の場所で」……あの時の言葉、やっぱり聞き間違いだったのかな)

​鷹司はあの日以来、社内で鷹司と顔を合わせても、相変わらず完璧な「副社長」だった。

真由もまた「総務部員」として礼儀正しく頭を下げるだけ。

あのエレベーターでの一瞬の熱量は、まるで幻だったかのように日々は過ぎた。

息を小さく吐き出すと、白い煙がすっと夜の空気に消えていく。

​その時だった。

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