目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
1台の黒塗りの高級セダンが、真由の脇の車道に静かに滑り込んできて、緩やかに停車した。

(……社用車?)

​真由が見覚えのあるナンバーに足を止めると、後部座席のウインドウがゆっくりと下りた。

​そこにいたのは、車内の薄暗がりの中で真由を見つめる、鷹司だった。

​「市川」

​「副社長……?  お疲れ様です」

​真由は思いがけない場所での遭遇に、驚いて背筋を伸ばした。

鷹司は車内から真由をまっすぐに見つめると、静かに口を開いた。

​「直帰か」

​「あ、はい。倉庫での移管作業が早く終わりましたので……」

​「そうか。少し付き合え」

​「え……?」

​鷹司は真由が呆気にとられていると、後部座席のドアを内側から開けた。

​「立ち話をするには冷える。乗るといい」

​通りに面した場所で、副社長の社用車を長く停車させておくわけにもいかない。

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