目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
episode10ーー1枚のカード
何事もなく1週間が過ぎようとしていた。
(やっぱり、副社長は軽々しく動ける立場じゃないものね……)
真由がそう自分に言い聞かせていた金曜日の夕方。
真由は、各役員室から回収した「翌週のスケジュール確認票(紙運用)」をファイリングし、秘書課へ届けに向かっていた。
秘書課のカウンターで担当者に書類を渡し、雑談を交わして立ち去ろうとしたその時。
ちょうど副社長室から、革のブリーフケースを手にした鷹司が出てきた。
「副社長、お疲れ様です」
秘書課の社員たちが一斉に頭を下げる。
真由も慌ててその列に加わり、深く一礼した。
鷹司はいつもの隙のないスーツ姿で、「お疲れ様」と短く応じると、秘書課の前を通り過ぎようとする。
その時だった。
「——市川」
鷹司が足を止め、振り返らずに真由の名を呼んだ。
「はい」
(やっぱり、副社長は軽々しく動ける立場じゃないものね……)
真由がそう自分に言い聞かせていた金曜日の夕方。
真由は、各役員室から回収した「翌週のスケジュール確認票(紙運用)」をファイリングし、秘書課へ届けに向かっていた。
秘書課のカウンターで担当者に書類を渡し、雑談を交わして立ち去ろうとしたその時。
ちょうど副社長室から、革のブリーフケースを手にした鷹司が出てきた。
「副社長、お疲れ様です」
秘書課の社員たちが一斉に頭を下げる。
真由も慌ててその列に加わり、深く一礼した。
鷹司はいつもの隙のないスーツ姿で、「お疲れ様」と短く応じると、秘書課の前を通り過ぎようとする。
その時だった。
「——市川」
鷹司が足を止め、振り返らずに真由の名を呼んだ。
「はい」