目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
鷹司は真由が背筋を伸ばすと、ポケットから自前のスマートな名刺入れを取り出した。

そこから1枚のカードを取り出した。

そして、まるで「業務用の連絡先を渡す」かのように、ごく自然な手つきで真由に差し出した。

​「秘書課から先日の役員会議の件、総務部側の窓口として君の連絡先を聞いた。こちらの直通(ライン)だ。来週の出張の件で確認したいデータがある。……手の空いている時に、一言メッセージを入れておいてくれ」

​周りから見れば、「役員が業務連絡のために総務部の担当者に直通の連絡先を渡した」という、完璧に公的なシチュエーション。

​「あ……かしこまりました。受領いたします」

​真由は両手でそのカードを受け取った。

​秘書課の社員たちも「副社長は相変わらず仕事が早いな」「直接指示されるなんて市川さんすごいね」といった様子で、全く怪しんでいない。

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