目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
どこまでも用意周到で、抜け目がない。

公私混同を最も嫌う彼が、立場上、ここまで綿密に計画を立てて自分との時間を作ろうとしている。

その事実に、真由の心はじんわりと温かい熱で満たされていった。

19時28分。

真由は指示された通り、周囲の視線を警戒しながら本社裏手の閑静な路地へと向かった。

​老舗中華料理店の裏手に通じる薄暗い路地に、落ち着いたダークグレーのクーペが静かにハザードランプを点滅させて停まっている。

社のハイヤーでも役員車でもない、鷹司の完全なプライベートカーだ。

​真由が近づくと、助手席のロックが内側からカチャリと解除された。

​ドアを開けると、運転席に深めにシートを倒した鷹司が座っていた。

上着のジャケットは脱ぎ捨てられ、シャツの第1ボタンが少しだけ緩められている。

​「入って」

​低い、けれど耳に心地よい声。

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