目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
鷹司は前方に視線を向けたまま、滑らかな手つきでハンドルを握っている。

週末のプライベートな時間ということもあり、車内には穏やかな空気が流れていた。

​「……今週もお疲れ様。平日は社内で緊張させてしまったな」

​鷹司が静かに口を開く。

木曜日に副社長室で「髪型を変えたな」と囁かれた時のことを思い出し、真由の頬がポッと赤くなった。

「いえ……。でも、あの時は本当に心臓が止まるかと思いました。秘書課の方もすぐ近くにいらっしゃいましたし……」

​「すまない。……ただ、社内であまりにも完璧な『副社長と担当者』を演じ続けている反動が出たらしい」

​鷹司は苦笑交じりに唇の端を上げると、チラリと真由へ優しい視線を向けた。

​「廊下ですれ違うとき、君はいつも綺麗に背筋を伸ばして一礼するだろう」

​「はい。失礼のないように、と……」

​
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