目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
episode20ーー時差を超えた孤立と葛藤
翌日から、真由の前に広がる世界は一変する。

​現地政府からの突然の条件変更、欧州銀行団からの不自然な融資審査の先送り。

すべて宗一郎の手のひらの上での見えざる圧力だった。

​鷹司が副社長室で時差と戦いながら、世界各国の現地法人と連絡を取り続ける表情には、色濃い疲労と焦燥が滲む。

​(これが、鷹司宗一郎様の力……。国内の社内政治どころじゃない。世界中のビジネスの動脈を、指先ひとつで締め上げることができる)

​「市川、現地法人の法務チームから回答は来たか」


「……はい、ですが欧州側の保険適用の件で難航しています」

「そうか。俺が直接ロンドンへ飛ぶ(フリをし、国内で金融庁やアジア系ファンドとの緊急協議をしてくる)」

​疲弊しながらも決して折れようとしない鷹司の姿に、真由の胸は締め付けられる。

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