君と僕との最後の一週間
帰宅編~四日目~
「雪流…雪流……。起きて…?」
現在10時半過ぎ、雪流はまだ目を覚まさない。
今日は家に帰る日。そしてきっともう、ここには戻ってこない…
「ん…うんん、か、いと?」
「雪流。おはよう。」
「おはようございます。」
“良かった…目、覚ましてくれた…”
カーテンを開けて陽射しを室内に入れる。
その光を浴びて上体を起こしている雪流を、窓に背を向け縁に手を置いて振り返り見ると、日の光でいっそう白く細くて儚く、今にも消えそうな雰囲気に俺は、たまらず抱き締めた。
「っ…雪流……!」
―ギュウ…
「どうしたの?海兎。海兎の体暖かいね。」
ギュッと雪流も背中に手を回して抱き締め返してくれる。
その確かな強さと温もりに、漸く安心して離してやる。
「ごめん。ちょっと……」
俺が言いよどむと俺の気持を感じ取ったのか、雪流が自分からキスをしてきた。優しい甘いキスを。
前は恥ずかしくて、絶対自分からしなかった雪流が入院してからは惜しむように、したいときはキスをねだるようになった。
「ん……大丈夫ですよ、僕はちゃんとここにいます。
海兎の側に、何処にも行かないよ。」
「あぁ。そうだな。」