元カレ弁護士の恋事情
(一人暮らしの部屋にお招きすることになるのでは!?)

 マンションのエレベーターの中で二人きりになった途端、心臓がばくばくと鳴り出した。
 なんでもっと早く気づかなかったんだろう。
 ……いや、玄関先で少し確認してもらえばいいだけだ。
 それだけなら、大丈夫。
 ──と、思っていたのに。

 どうして今、私たちは二人肩を並べてローテーブルに資料を並べているのでしょうか?
 久我さんは、平然とした顔で私のスケッチブックを見ている。
 仕事、よね……? 私が気にしすぎなだけだわ。
 一人で、納得するように小さく首を振った。

 でも、一人暮らしのローテーブルは小さすぎて、隣に座っていると自然と肩が触れてしまう。
 意識しないようにしていたけれど、やっぱり気になる。少し距離を取ろうとした時、
「……見て!」
 久我さんが、控えめに声を上げた。

「やっぱり、これは君のラフ案だ」
「え?」

 資料に印刷されたものと、実際のスケッチブックを重ね合わせて光に透かすと……ピッタリとハマった。

「これは模写やトレースじゃない。君のスケッチブックそのものを写真に撮ったんだ」
「どうして……」

 こんなことができるのは、実物を手に取った人間だけ。疑惑が、確信に変わっていく。

「曽根崎さん、と言ったな」
「はい……。私は、その人にしか見せてません」

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