元カレ弁護士の恋事情
 久我さんの表情が引き締まった。
 私も何も言えず、重なった二枚の紙を見つめる。
 あの時、曽根崎さんは何を思って、私のスケッチブックを見ていたのだろう。
 考えても、今は答えが出ない。

「……明日、カネモトフーズに確認してみる。気になるだろうけど、少し待っていて」
「はい……」
「じゃあ、今日はここまでにしようか」
「そうですね」

 事件については、ひとまずここまで。
 私は小さく息を吐いて、テーブルに広げていた資料を片付け始めた。
 久我さんも同じように資料へ手を伸ばした時、指先が触れる。
(あ……)
 反射的に手を引こうとしたのに、久我さんが私の手をきゅっと握った。

「……っ」

 驚いて顔を上げるけれど、目が合ってまたすぐに視線を逸らした。
 頬が熱い。久我さんは、手を離してくれない。

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