元カレ弁護士の恋事情
 私が、そそくさと席に座ったところで、久我さんが話し始めた。
 目の前のテーブルの上には、カネモトと東都が用意した資料と、昨日私が久我さんに預けたスケッチブックがある。
 
「いただいた資料と、こちらのスケッチブックのデザインは同じものと見られます。これらは、彼女──大谷さんが高校生の頃から書き溜めていたものらしく、時系列的には大谷さんのデザインの方が先、ということになります」
 
 久我さんはスケッチブックのすぐ隣に例のカネモトフーズ側の資料を並べ、冷静に発言を続ける。
 
「さらに言えば、この画像はスケッチブックを写真に撮ったものです。ここに、スケッチブックの端が写っています」
 全員が、覗き込むように資料を見た。
 
「どういうことですかな、カネモト社長。久我先生によれば、そちらの社員が我が社のデザインを盗んだということになりますが」
「そ、それは、弊社としても大変困惑しておりまして……」
 カネモト社長は、汗を拭きながら弁明している。
「どういうことなんだね、曽根崎くん……!」
 声を落として、隣の曽根崎さんに事情を請う。カネモト社長も、まさか自社の社員が盗作側になるなど、思っていなかっただろう。
 
「グーゼンですよ、グーゼン! デザインが似るなんて、よくあることでしょう?」
 
 曽根崎さんは、半ば開き直ったように言った。たしかに、デザインが偶然似てしまうことは、可能性としてなくはない。けれど今回のこれは、デザインが似る以前に資料の画像とスケッチブックに描かれたものが同一であるということを示している。
 
「……ということは、そちらが彼女のデザインを盗んだ、と認めるということでよろしいでしょうか?」
 
 久我さんの言葉に、曽根崎さんはぎょっと目を見開いた。
 
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