元カレ弁護士の恋事情
「えっ? ち、違う違う! そっちが、俺のデザインを盗んだんでしょ?」
「しかし、『デザインが似るなんてよくあること』なら、盗作だと騒ぎ立てることもないはずなのですが」
「いや、だから、こっちは穏便に済ませようと……」
 
 曽根崎さんは言い返しているものの、話に一貫性がない。自分の主張が矛盾していることにも気づいていないのか、それとも気づいていて、なんとか言い逃れようとしているのか。
 弁護士から呼び出され、思いがけず事が大きくなったことで、どうやら冷静さを失っているようだった。
 
「……そのスケッチブックが、実際に高校時代から存在していたことを証明できますか?」

 黙っていたカネモトフーズ側の弁護士が、反論するように口を開いた。
 それに対して、久我さんは冷静に答える。

「各ページの隅に描いた年月が書かれていますし、紙の劣化具合から見ても、十年ほど経っているのはご理解いただけるはずです」
 相手側の弁護士は言い返せずに口をつぐんだ。

「でも、これだけじゃ俺が写真を撮ったって証拠にはならないでしょう?」

 曽根崎さんが、ここぞとばかりに口を挟んできた。
 たしかに、スケッチブックが昔から存在していたとしても、それだけで曽根崎さんが写真を撮ったと断定することはできない。
 けれど、久我さんは動じることなく、彼に視線を向けた。

「そうですね。しかし、あなたは数年前まではこちらの社員だったと聞いています。その時に、見たのは確かではないでしょうか?」
「…………」

 曽根崎さんが黙り込んでしまう。そこをすかさず、久我さんが釘を刺した。

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